次は踊り場。


ここは自由に動ける範囲が小さい割に、すぐに視線が切れてしまうから難しい。


「つ、次はここだ。野澤くんは階段の上、丸山と神崎さんは一階で待機してくれ」


和田先生の指示通り、一階に移動したけれど……廊下に出た私は、今までにない悪寒を身体中に感じる事になった。


何かおかしい……雰囲気が今までと全然違う。


まとわりつく空気がさらに重くなって、足が動かないくらいに。


水ではなく、泥に埋もれているかのような重さを感じた。


「ひいいぃぃぃぃっ!!あぐっ!!」


その悲鳴に頭を上げて見てみると、和田先生が頭部を白い物に噛み付かれて、脳みそが引きずり出されていたのだ。


「先生!くっ!」


白い物を見詰めながら、海琉がパンッと手を打った。


と同時に、元の姿に戻り、階段を転がり下りる和田先生。


「ハァ……ハァ……も、もう何度死んだだろうね……うっ!な、なんだこの空気は!」


私の隣に立ち、身震いをして辺りを見回す。


私が例の白い物を見た場所は、この廊下の奥。


だけど、目の前には白い物。


こんな中でまともに作業なんて出来るのかという不安が、私の心を押し潰そうとしていた。