「だから、神崎さんが見た『とんでもない白い物』というのが現れた場所が気になる。下半身が床に埋まっている白い物……それに、笑っていなかったんだろう?もう、そこに賭けるしかない」


「おいおい、随分曖昧だな。冷たくて重いって書いてあるだろ、これによ。若葉が白い物を見た場所は校舎の中なんだぜ?」


バシッと日記を叩いて、海琉が先生に反論する。


私には何が正しいのかはわからない。


先生の勘が当たっているのか、間違っているのか。


だけど、私もその気持ちはわかる。


追い詰められている状況だと、なんだって信じたくなるような心境になってくるから。


それに、和田先生が言うように、もうそれしかすがる物がないのが現状なのだ。


「校舎の中だろうと外だろうと、可能性があるならそこを当るだけだよ。あの広い学校で、敷地内全てを探すなんて不可能だからね」


「待て待て、若葉が見た場所は校舎の一階の床だぞ?」


「ああ、だから丸山には持って来てもらったのさ。削岩機(さくがんき)やつるはしをね」


そう聞くと、和田先生は最初から篠目ふみの居場所はそこだと確信していたようにしか思えないよ。


和田先生がそう思っているなら、私もそれを信じるしかなかった。


もう、他の道を考えている余裕なんてなかったから。