なんとなくだけど、月菜の苦しみを理解出来たことで、想いを伝えることが出来たんだと思う。


「な、なんだったんだ今のは……大丈夫か?若葉」


「うん、私は大丈夫。校門に行こう」


今、やっとわかった。


ノートがふやけて波打っていたのは、狂った月菜のよだれが落ちたものじゃない。


眠気と苦痛に耐え続けた月菜が、流していた涙だったんじゃないかって。


私達と照らし合わせても、月菜の行動は理解出来るし、誰にも相談しなかったのは被害者を増やさない為。


優しい月菜は、最後まで優しかったんだ。


生徒玄関から校門に向かった私達。


丁度、丸山さんの車が校門の向こうに見えて。


私と海琉は顔を見合わせてそこに急いだ。


「急に連絡があったと思ったら……ノブリンはどこだ?」


「和田先生は、必要な物を取りに行っています。ありがとうございます丸山さん」


相変わらず見事なスキンヘッドで、太陽の光を浴びて光り輝いていた。


「気にするな。それにしてもノブリンは何をするつもりなんだ?俺にあんなものを持ってこいだなんてな」


あんなものってなんだろう。


私も和田先生の考えはわからない。


その考えを聞くよりも先に、ノートと日記の回収に来たのだから。