月菜のノートを回収するだけなら、大した労力じゃない。


「日記を回収したら向かうから、先に校門の前で待っていてくれ」


「そっちは任せたぜ先生」


海琉と二人、廊下を歩いて私達の教室へと向かう。


誰もいない学校というのは、いつもと違って静かで冷たくて……気味が悪い。


廊下の突き当たりに、幽霊でもいるんじゃないかって思うくらいには。


……なんて、その幽霊にここ最近悩まされ続けてるのに、今更それを怖がってもね。


そんなことを考えている間に、教室に到着。


ドアを開けると……なんだか異様な雰囲気が漂っている。


「おいおい……こりゃあ何の冗談だよ」


その理由は、部屋の中を見てわかった。


月菜の机の上に置かれている花瓶と同じものが、私、海琉、光星、そして摩耶の机にもあったのだから。


花は萎れて、お前は死ぬんだと言わんばかりだ。


「けっ。こんなのにビビるかよ。どうせなら直接来いっての」


そう言い、教室の中に入った海琉。


出来れば直接来られるのは勘弁だけど、確かに今更感があるよね。


私も教室に入り、海琉と共に月菜の机の前に。


椅子を引き、ノートを取ろうと机の中に手を入れた。