私達三人は、海琉の家を出て学校へと向かった。


「それにしても、なんで日記とノートなんだよ!そんなもん本当にいるのかよ!あれだろ、篠目ふみは自分が誰なのかを知りたいだけじゃねぇのか!?」


「僕はね、思うんだよ。元の場所に還さなければならないというのは、篠目ふみに還すのではないかとね。そうでなければ、もはや僕達に打つ手はないよ」


確信……と言うよりは希望。


一度潰えた希望が、再び目の前に現れたのだから、この機会を逃すわけにはいかない。


もしもこれが失敗すれば……私も、摩耶達と同じ道を歩んでしまうかもしれないという考えが頭を過ぎる。


「俺達にはもう、後なんてねぇだろ!和田先生は最後まで考え続けてくれよ!俺と若葉には、もう思考力なんてねぇからよ!」


「は、はは。そうだね。考え事はするけど、難しいことは考えられないね」


眠気を堪えるために歩いてはいるけど、走る程の体力は残っていない。


全身がふわっとした倦怠感に包まれて、身体を動かすのももう億劫(おっくう)になっている。


だから、早歩きが精一杯。


そんな、肉体的にも精神的にもボロボロの中で、私達は学校に辿り着いた。