「……確かに違う。だが、僕達にはそれがどうだとか議論している暇はない。議論などしても、それが正しいか知る由もないのだから。行こう。あの学校に」


篠目ふみの死体を探すのなら、それは避けられないと思っていたけど、思ったよりも行動が早い。


「和田先生、それなら月菜のノートと、あの日記を持って行かないと。悪夢の中では月菜も進波音もいました。となると、あの学校にもいるかもしれないです」


「あ、ああ。そうだね。丸山には学校まで来てもらおう。ノートと日記を回収して、移動するとしようか」


月菜のノートに書かれていた最後の項目、「これは元の場所に還さなければならない」という文章。


ノートやルーズリーフを本人に返せと言うことかと思ったけど、篠目ふみの話を聞いた後ではそれは違うような気がする。


確かに本人に突き付けたら一時的に消滅はしたけど……あれは本当に消滅したわけではなさそう。


「そう思った」ことによって消えた、私達が見たただの幻覚だったんじゃないかなって。


集団催眠って言葉もあるくらいだから、こんな呪いの中にいる私達が集団幻覚を見るというのもありえない話じゃない。


お守りみたいな感覚だけど、あのノートと日記は、あった方がいいと思えた。