ここは何階だろうと、廊下の窓から外を見てみる。


真っ暗でわからないかもしれないけど、ぼんやりとでもわかればと思ったから。


でも……さすがは夢と言うべきか。


外を見ても何も見えなくて、ただ暗闇が広がっているばかり。


割れたガラスと相まって、外に吸い出されそうな雰囲気さえあった。


それに、床に散乱しているガラスや、落ちた天井を踏んでも痛みはない。


そんなことを考えながら廊下を歩き、階段までやって来た。


上りと下りがあるけど、そこは当然下り。


「うわ……ここも天井が崩れてる。足元に気を付けてね」


先を行く摩耶が、恐る恐る階段を降りて行く。


確かに、場所によっては歩きにくくて、確認しながら歩かないと足を滑らせてしまいそうだ。


それでも何とか転ぶことなく歩いて、下の階にやって来た。


「玄関ってどこにあるんだろうね。それに、このピアノの音……」


移動したはずなのに、大きくも小さくもならず、まるで頭の中に直接聞こえているかのような不気味さ。


それは、「どこから聞こえている」なんて考えるのすら無意味に思える音だった。


「思ったよりでかい学校みたいだからな。でも、ここが一階みたいだし、もうすぐ着くだろ」


その言葉は、不安になる私に安心感を与えてくれた。