普通なら、摩耶と光星があんなことになったんだから、友達として病院に駆け付ける……なんてことをするかもしれない。


でも、私達には時間が残されていないから。


あれは私の未来だ。


海琉の未来だ。


これ以上どうしようもなくなった時、私達も同じ行動を取らないとも限らない。


今、手の甲をつついているボールペンだって、少しでも気を抜けば、皮を突き破り、肉を裂いて突き刺してしまいそう。


それくらいギリギリで、危うい精神状態でいるのだから。


「摩耶と光星が教えてくれたんだ。絶望に負けるとああなるって。大丈夫だよ、私達は負けない。負けてたまるもんか!」


もう、焦点が合わない。


目が霞んで、テレビの声が歪んで聞こえる。


その中で、私の首や左腕、胸から声が聞こえているようで。




「眠りなさいよ……眠りなさい。早く楽になりなさい」



「もうこんな苦しいのは終わりにしよう……ほら、死んでしまえば楽になるから……」





そんな声が、摩耶達にも聞こえていたのかな。


この弱り切った心では、声に惑わされてしまいそうになるよ。


「うるさい……私に構わないで!!私は生きるんだから!最後まで……諦めないんだから!」