血の付いた服を着替える為に、海琉の家にやって来た。


眠気覚ましと気分転換も兼ねてと、海琉はシャワーを浴びると言い出して、私は缶コーヒーを飲みながらテレビを見ていた。


考える事は一つ。


光星が最後に言っていた「死体を見付けて。家に返して」という言葉。


白い物から聞いたと言っていたけど、確かに聞き取れないような声でブツブツ言っていたよね。


「死体を見付けて……か。あの日記にも、私は殺されたって書いてあったし。これって偶然じゃないよね」


知れば知るほど、考えれば考えるほど一つの結論に収束して行くような気がする。


和田先生が調べてくれているのは、その答え合わせのようなものだ。


テレビの中でコメンテーター達が話しているのを見ているけど、眠くて話が頭に入って来ない。


光星と摩耶の姿……あれは、私がああなっていたかもしれないという未来の姿だ。


あまりに眠くて、テーブルの上に置かれているボールペンを手に取って、左手の甲をつつき始める。


こうして痛みを感じるギリギリで刺激を与え続ければ、眠ることはないだろう。


もう少しで終わる。


もう少しで本当の意味で眠れる。


その希望だけが、私や海琉と、光星と摩耶の二人を分けた差なんだと言い聞かせて。