「おいおいテメェら!イチャイチャしてんじゃねぇぞ!」


なんの遠慮もなしに、海琉が部屋のドアを開けながら蹴飛ばした。


私は、見ちゃいけない物を見てしまうかもしれないと、慌てて目を手で覆ったけれど……その途中、別の意味で驚くことになってしまった。


部屋の中が……赤い?


そして、上半身裸になって椅子に座っている光星の腹部に、包丁を突き立てている血塗れの摩耶の姿があったのだ。


「光星……ほら、もうすぐで印が取れるよ。これで私達、もう悪夢にうなされなくて済むね……うん、大丈夫だよ。ずっと私といてくれたんだもん……これからもずっと一緒にいようね?」


既に、光星の左手は手首から切断されていて、それが机の上に転がっている。


あまりにも……想像を絶する光景に、私も海琉も声を出すことが出来なかった。


「あう……ああ……」


「ほら、取れたよ光星。お腹の印……」


包丁を動かし、光星の腹部にあった印を剥ぎ取り、それを虚ろな目の光星に見せた。


これは……誰なのだろう。


私が知っている光星と摩耶とは、姿が一致しない。


光星の身体には足りない部分があって、摩耶は額と右膝、そして左太腿から大量の出血。


もはや、人間が動いているとは思えなかった。