しばらく歩いて、私達は光星の家にやって来た。


海琉の家からなら、摩耶の家よりもここの方が近い。


だから、光星が摩耶を落ち着かせるとしたら自分の家かな……と思って。


インターホンのスイッチを押すと、少しして光星のお母さんらしき人が出て来た。


「あら、海琉くん」


「おばさん、光星いる?」


「あら、ねえちょっと聞いてよ。あの子ったら部屋に女の子を連れ込んじゃって。彼女かしら?海琉くん、そんな話聞いてる?」


と、なんだか嬉しそうに海琉に尋ねるお母さん。


「いや、わからないけど。いるなら上がらせてもらうよ。ちょっと用事があるんだ」


「あらあらあら、海琉くんも彼女を連れて!まあ……青春よね」


光星とは違って、なんだか面白そうなお母さんだけど、今は光星と摩耶のことが気になる。


部屋にいるならどうして海琉の電話に出ないのか。


もしかしたら寝てしまっているという可能性もあるけれど。


「お、お邪魔します」


そう言って、海琉に続いて家に上がり、二階へと向かった。


部屋に近付くにつれ、小さなうめき声のような物が聞こえ始める。


それは、荒い息遣いの途中で聞こえているような……なんだか海琉が言った、イチャついている最中かもしれないと、ドキドキしていた。