海琉のその言葉は、「ゴールだと思ってゴールじゃなくても、またゴールまで走ればいい」と言っているようにも聞こえた。


そうすることで、諦めるということをほんの少しだけ先延ばしに出来るのかもしれない。


「つっても、これだけじゃ何もわかんねぇな。この後は何も書いてねぇのかよ」


そう言い、次のページを捲る。


するとそこには、月菜のノートで見たのと同じような、狂ったような文字が。


一瞬ドキッとするけど、初めて見たような衝撃はなかった。


「また『ミシナンネ』か。これもネタバレしてしまえば、大した事はねぇな」


「……ねえ、ちょっと待ってよ。これって、進波音の名前を並べ替えたものだって和田先生は言ってたけど、それっておかしくない?」


眠くて回らない頭でも、その不自然さは確かに感じる。


「うん?どういうことだい?神崎さん」


「だってそうじゃないですか?進波音も月菜も、海琉も呼ばれたんですよね?この日記に。だとすれば、そもそもがこの呪いの起源は進波音じゃなかった事になりませんか?それなのに、『ミシナンネ』が……知ってはならない言葉が、いかにも進波音が関係があるみたいに……上手く言えないですけど」