そして、そこに手を入れて取り出したのは……錠付きの日記?


海琉がそれを机の上に置いた。


「ダイヤル式の錠が付いてる……番号もわからないし、どうしよう」


この日記を、月菜はどうやって開けたのだろうか。


「んなもん、ぶっ壊せばいいだろ。持ち主はもういねぇんだ」


乱暴だけど、確かにそうか。


それに、私達はそれを気にしている余裕もないし。


海琉が錠を壊そうと、手を伸ばした時だった。


カチャカチャッと音を立てて、ひとりでにダイヤルが回り始めたのだ。


「う、うおっ!なんだよこれ……気味が悪ぃな」


こんな事を言うと海琉は嫌がるかもしれないけど、和田先生が言うように「呼ばれた」という表現がピッタリ当てはまる。


カチッという音とともに錠が外れ、日記が開き始めたのだ。


「な、何これ……なんで勝手に……」


「い、今更驚いてられるかよ。こんなのよりももっととんでもない事に巻き込まれてるだろ、俺達は」


そして……日記はとあるページでその動きを止めた。


「えっと……昭和55年8月2日。今日、私は殺された……って、えっ!?」


そんな文章から始まるページに、私は驚いて目を見開いた。