「あった……これだ」


先生がやって来た場所。


そこは、三階よりもさらに上、屋上に出る扉の前に置かれた机。


……授業を抜け出して、海琉が私達を連れて来た場所だ。


「マジかよ……俺、そこに腰掛けてたぞ?」


嫌そうな顔で机を指さして、ボソッと海琉が呟く。


「そう言えば、月菜が言ってた。『行かなきゃならない場所がある』って。海琉も私達をここに連れて来たし……もしかして、最初からこうなるのが決まってたの?」


考えたくはない偶然。


海琉はきっと、授業をサボるにはここが静かでいいと思って連れて来たと思うし、考えすぎかなと思ったけれど。


「い、いや。まあ……どこに行こうか悩んでたら、頭の中にここが浮かんだんだよな。誰かの声が聞こえたような気もするけど……勘違いだよな?」


「それは……きっと呼ばれたんだよ。早瀬さんも野澤くんも……はっ!よ、呼ばれた?まさか……そんな」


ここに来て、何かに気付いたのか、和田先生が驚いたように声を上げた。


「呼ばれたとか気持ち悪ぃこと言うなよ!ほら、さっさと確認しようぜ。ここにあるんだろ。例の呪物ってやつがよ」


和田先生を押し退けて、海琉が机を動かし、その中を覗き込んだ。