和田先生について、校舎の中に入った私達。


誰もいない校舎は静かで、夢の中を彷彿とさせる。


「僕は、大切な事を忘れていたよ。早瀬さんが亡くなった時、キミ達が僕の前に現れた時に、もっと考えるべきだった。僕は、逃げ出した過去と向き合うことに必死で、波音のことしか考えていなかったんだ」


「いやいや、わけわかんねぇって!何を忘れてたって言うんだよ!」


小走りで廊下を走り、音楽室がある校舎に入った。


「波音には、他校に通っている妹がいたはずだ。だけど彼女は波音が亡くなって、少ししてから後を追うように亡くなったんだ。入院中に、新聞でその記事を読んだ覚えがある。その他校というのがこの学校で、妹が呪物を遺したとしたら……早瀬さんが知ってはならない言葉を知った理由も理解出来る」


階段を上り、その場所へと急ぐ和田先生の後を追う。


「妹がいて、亡くなったってことは……その妹も進波音が書いた知ってはならない言葉を知った……」


姉妹なら、もしかすると遺品の中に紛れていたその言葉を知る可能性はあるかもしれない。


そう考えると、進波音と月菜がそこで繋がってしまった。


これが私の求めるゴールなのか……それとも、まだ何かあるのかはわからないけれど。


それでも、一歩前身出来たような気がする。