海琉に怒られて、私はまだ動けるというのがわかった。


昨夜の夢は今までとは違う。


眠くてたまらないけど、考えて、動いて、頭の中にうっすらと見える細い光を辿るしかない。


「はぁ?下半身が床に埋まった白い物?なんだそりゃ」


「ちょ、ちょっと!見ないでよまだ服着てないんだから!!」


「わ、悪ぃ!!」


念の為に持って来た着替えが、こんな所で役に立つとは思わなかった。


汗で濡れた服と下着を脱ぎ、リュックの中に入れた替えの服を着る。


「それが、よくわからないんだけどね。私達が襲われた教室あるでしょ?その前にあった階段を下りて一階に行ったらね……いたの。真顔の白い物が。進波音や月菜とは違う……本当に、会っただけで殺されるって覚悟するほど恐怖を感じたよ」


あの顔は……今思い出しただけでも鳥肌が立つ。


「何度も白い物を見てる若葉がそう感じるなんてな。そりゃあとんでもねぇ幽霊なんだろうな。てかあいつ何やってんだよ。電話に出ねぇぞ」


光星にでも電話をしているのだろう。


さっき帰ったばかりなら、まだ外を歩いているかもしれないな。


摩耶を宥めながらだったら、電話に出る余裕もなさそうだし。