「だって、あれだけ頑張ったのにダメだったんだよ!?頑張っても頑張っても、まだ頑張りが足りないっていうの!?どうすればいいとか、誰も教えてくれるわけじゃないし!どこまでやればいいのか、もう私にはわからないよ!この先ずっと苦しみ続けるのも嫌だし、いっそ楽になりたい!何も考えずにいられるのなら、それでもいい!その方が……今より全然マシだよ」


いつの間にか海琉の腕をギュッと掴んでいて。


話しているうちにどんどん顔が近付いているのがわかった。


「本当に、若葉はそれでいいのか?もうここで全てを諦めて、最後の苦しみを一度味わって、終わりにしようって思ってるんだな?」


「……うん。もう諦めたい。だって先が見えないんだもん。でも、その前に……良い思い出がほしいから」


私は、いつから海琉を意識するようになったんだろう。


鮮烈な好意ではないけれど、ゆっくり温められていた、でも強い想い。


どんなに苦しくても、海琉が傍にいてくれたから頑張れた。


きっと、いつの間にか好きになっていたんだと思う。


腕から首に手を回し、そっと海琉の顔との距離を詰める。


最後の最後で、その気持ちに気付けたから。