「……先生はわかるけどよ、光星と摩耶は?そこで寝てたよな?」


海琉が目を覚まして、明らかに不機嫌だとわかる顔で部屋を見回して呟いた。


「うん。私が起きた時にはもういなかったよ」


どんな感じでこの家を去ったのか、あの摩耶を見れば大体想像がつく。


終わると思っていた悪夢が続いて、精神的にもう耐えられなくなったというのは。


私だって、あんな殺され方をしてもう気力がなくなりかけている。


「くそっ……何だか上手く行き過ぎだって思ったんだよな。光星と摩耶には連絡をするとして、先生はどうする……今頃家か?どうやって連絡を取れば良いんだよ」


部屋の中をうろうろと動き回り、イラついているようにブツブツと呟いている。


私は考えられるほど頭が回らない。


このまま苦しみが続くのならあと一度だけ、死んでしまったら、もう苦しまなくて済むんだとさえ思っていた。


「ねえ、海琉。もうやめない?これ以上やっても、苦しみが長く続くだけだよ」


半ば諦めた感じで、溜め息混じりにそう吐き出した。


「は、はぁ!?お前何言ってんだよ!死ぬつもりか!?」


ポツリと呟いた私の言葉に過剰に反応し、怒ったような表情で私の前に駆け寄った。