そんな事を言われると……私は何も言い返せない。


夢の中とはいえ、こんなところで一人になったら怖いし、心細いのは確かだ。


だから、そう言ってくれるのは嬉しかった。


「いや待て若葉……ドアを塞げ!俺を手伝え!」


廊下に視線を向けていた海琉が、慌てて後退してドアを閉めた。


ちょっと気分が良くなってニコニコしていた私に、突然の命令。


海琉がドアを閉めたと同時に、ドンッ!という音と共にドアが激しく揺れる。


「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャッ!!」


この声……月菜に遭遇したの!?


ドンッ!ドンッ!と、何度も体当たりをしているのか、ビリビリと教室が揺れているよう。


「ひ、ひいぃぃぃっ!!い、息を止めなきゃ!息を止めなきゃ!」


祈るようにドアを押さえ、そう連呼する。


「こんな状況で!!俺が引き付けるから、若葉は何とかして逃げろ!わかったな!?」


「そ、そんな!私を一人にしないんでしょ!?」


「状況が変わったんだよ!」


もはやパニック状態。


何度も何度もドアに衝撃が加わり、必死に押さえてはいるけれど、いずれ破られてしまいそう。


この部屋は、窓ガラスも割れていない比較的綺麗な部屋だから何とか耐えられているのかもしれない。