呼吸……か。


じゃあ、月菜が近くにいる時は息を止めればいいってこと?


「でも、もしそうだとしたら、かなりきつくない?だって、息を止めてても近付いて来るし、ずっと見られてるんだよ?」


どう考えても逃げられそうにない。


まあ、それは進波音の方も同じなんだけど。


「文句言ってても、あいつらが手を抜いてくれるわけが……お?」


丁度音楽室の下の教室。


ドアを開けた海琉が嬉しそうな表情を私に見せた。


こんな時にそんな顔になるということは……。


私も部屋の中を覗いてみると、その教室の真ん中にぼんやりと光る物が。


出口だ。


「だけど、誰の出口なのかな。自分のじゃなかったら少しガッカリするよね」


「それは触ってみるまでわかんねぇよな。若葉、触ってみろよ」


「え?う、うん」


海琉に促され、何だか悪いなと思いながらその光に近付く。


手を伸ばして、そっと光に触れた。






でも、私の手はその光の中でフラフラと動くだけ。


「わ、私の出口じゃないよ」


「チッ。しゃーねぇな。じゃ、次を探しに行くぞ」


そう言って廊下に出ようとした海琉の行動に、私は首を傾げた。


「ね、ねぇ。海琉は試さないの?」


「バーカ。俺がもし出ちまったら、若葉が一人になるだろ」