私も海琉も、今にも倒れそうなほどの眠気の中、必死に歩いて出口を探していた。


これまでは、死の恐怖と逃げなければという思いで、何とか眠気を誤魔化せていたけれど。


とてつもなく眠くて、悪夢の中だというのに眠ってしまいそうだ。


「そ、それよりさ。光星はどうして月菜に襲われなかったのかな?海琉は脚を切断されたのにね」


思えば、私と海琉がトイレに隠れていた時もジッと見られてはいたけど、声を出すまで襲われなかった気がするし。


だったら、声?


光星はあの時に声を出していなかったし。


「そうだぜ不公平だよな。まさか光星の野郎、早瀬に手を出してたとかないだろうな」


「は、はは……光星は真面目だし、それはないんじゃないかな。月菜からそんな話も聞いてなかったし」


あまりの眠さで、緊張感も何もかもなくなっているような気がする。


目は焦点が合わないし、身体中が倦怠感に包まれているし、何より疲労が蓄積されていて。


いつ倒れてもおかしくない状態だった。


「だったら、呼吸なんじゃねぇのか?トイレに隠れてた時は、少しでも音を立てないように息を止めてたし、光星だって息をするのを忘れてたって言ってただろ?」