普通、怪談の一つや二つはありそうなのに。


それに、そんな呪物があるというなら尚更だ。


「でもよ、この廃校舎とうちの学校を繋いでる物はなんだ。そこが繋がらねぇと、何がどうなってんのか全然わからねぇよ」


廃校舎の進波音、うちの学校の月菜、二人の呪物。


しかも、進波音は和田先生の同級生で、月菜とは全く接点がないように思える。


だからこそ、うちの学校に他の呪物があると思うけど……。


「今は、何も出来ないよ。とにかくここから出て、朝になったら学校に行かないと。厄介だよね……うちの学校にあるとしたら、どこを探せば良いのか見当が付かないんだから」


廃校舎と違って、机だけでも何百とあるのだから。


いや、使用されていない机を合わせたら、ゆうに千を超えるだろう。


「死にたくなかったらやるしかねぇよ。気が遠くなる話だけどよ」


そう、私達がこの悪夢から抜け出すには、その呪物を何としてでも探し出すしかないのだ。


そして、どうしてうちの学校にそんな物があるのかを調べなければならない。


あまりにも手掛かりがなくて、私一人だと挫けそうになってしまうところだ。


「ほら、行くぞ」


だけど、海琉がいるから。


私はギリギリのところで踏ん張っていられる。