「そりゃあお前……あ、うん。言われてみればそうだな。呪いの起源が進波音のルーズリーフだとしたら、早瀬が見るはずねぇからな。じゃあ、どこで見たんだよ」


月菜がおかしくなり始める前日、体育の授業の時。


「行かなければならない場所がある」と、月菜はそう言ったはずだ。


でもそれは、校外というわけではない。


校舎内のどこかだ。


私達が体育の授業が終わった頃には保健室から出て来たし、そこで休んでいたなら時間的に外に出るのは難しいから。


「考えたくないけど……うちの学校のどこかに、例の呪物があるとしたら……」


ここからは本当に可能性の話でしかない。


もしかして……かもしれない……その可能性がある。


そんな言葉が必ず付く、不確定な話ばかりになってしまう。


「じゃあ何か?進波音のルーズリーフじゃなくて、他に呪いの根源があって、それがうちの学校にあるってのか?」


「そこまではわからないよ。でも、月菜が『知ってはならない言葉』を知ったのは確かだし、その可能性はあると思う」


だけど不思議なのは、うちの学校では怪談とか七不思議とか、そう言った話を全く聞かないことだ。