光星はそのあまりの近さと、真横で顔を覗き込まれている恐怖からか、身動き一つ取れない様子で。


ガタガタと身体を震わせているだけ。


「くっ!光星から離れやがれ!!」


素早くテーブルの上に置かれていたノートを手に取り、月菜に駆け寄った海琉。


それに反応するように月菜が海琉に手を伸ばしたけれど……。







「アアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」







という声と共に、手がノートに触れた瞬間、月菜は破裂するように「もや」のような物に変わり、飛び散って。


私達の前から消え去ったのだ。


「ぷはっ!!ハァ……ハァ……い、息をするのを忘れてた」


「消えた……ということは、これで終わったんだね?」


「やった……やっと眠れる……ふ、ふわああああん」


何度も何度も死を味わい、強烈な痛みを味わった私達。


摩耶はその喜びに涙し、声を出して泣き出してしまった。


呪いの起源である進波音のルーズリーフと、そのコピーである月菜のノート。


二つを、二人に還すことで、この永遠かとも思えた呪いは今、終わったんだ。


その安堵感が、今までにない眠気を誘って。


「これで安全なんだよね、私……もう眠い」


そう言うと、安心して目を閉じた。


少しして、和田先生の声が微かに聞こえた。







「皆、良く頑張ったね。今はゆっくりと眠るといいよ。悪夢が終わったんだ。いい夢を見られるといいね」