そしてその時は訪れた。


皆でお互いが寝ないように見張りながら、テーブルの上に置かれたノートは、いつ月菜の机に戻ってしまうのだろうと考えていた時だ。


このまま月菜が来なければ、ノートを還せないんじゃないかって。


だけど、その思いは突如鳴り響いたインターホンの電子音によって掻き消された。


「やっとお出ましか！」


壁に掛けられているモニターに、皆の視線が注がれる。


黒い画面……その中で動く物がないかを、私も眠い目を必死に開けて確認する。


だけど、モニターが映すのは暗闇だけで、動くものは何もなかったのだ。


「……なんだよ。来たんじゃねぇのか？」


油断した時に……というパターンもあるから、視線を逸らせない。


しばらくして、何もないと判断した海琉が溜め息まじりにこちらを向いた時だった。


「おいっ！！後ろだ！」


そんな悲鳴にも似た声を出して、光星を指さした海琉。


慌ててその指の方向を見ると……光星の顔の左側。


月菜が顔を覗き込むようにして光星を見ていたのだ。


なぜ覗き込んでいるのかはわからない。


だけど口はカタカタと動いて、何かを囁いているようにも見えた。