「どうしたの摩耶」


「えっと、若葉は気付いたかなって……」


月菜が目を開けて私を睨んだとか、歩き出した他に、何に気付いたと言うのだろうか。


「ほら、月菜が動いてたでしょ?あの時ね、月菜の足とか首に、人の顔があったような気がするんだ。若葉が見てないって言うなら、それは私の気のせいかもしれないんだけどさ」


そこまでは……気付かなかったなあ。


もう、月菜が動いていたこと自体が恐怖で、足とか首とかを見る余裕がなかったから。


「き、きっと気のせいだよ……もう、これ以上怖くなることを考えるのはやめよう?」


「そ、そうだよね。でもさ……月菜のお通夜、どうする?行くの?」


そう言われると……あんな事があったばかりだし、行くのは怖い。


でも、一人で家にいて、万が一月菜がやって来たらと思うと……それも怖かった。


「行かなきゃ、何か悪い事が起こりそうな気がするんだ。もっと怖いことが……」


「だよね。私も何となくそんな気がするよ」


私と摩耶がそんな話をしている横で、海琉と光星はまだ口論していた。


皆、恐怖心を誤魔化そうと必死になっていることはわかる。


私だって、こういう時は何も考えずに眠りたいのに。


何故か眠ってはいけないという感覚があった。