土曜日の学校。


部活の為に登校している生徒が多いから、私達が入っても問題ない。


「あった。やっぱりここかよ。光星が持ってたのにここにあるなんて、呪物だって言われても納得しちまうよな」


花が置かれた月菜の机。


その中からノートを取り出して、海琉がパンッとその表紙を叩いて見せた。


「早く出よう。私服で学校にいることが知られれば、先生に怒られてしまうからな」


光星の言う通り、制服を着て来なければ校舎に入ってはならないと、一年生の時に先生に言われたような気がするよ。


「そんなの大丈夫だぜ。だってよ、その先生が黙認してるんだぜ?」


「は、はは……和田先生もここの先生だったね。でも、光星の言う通り、のんびりしてても仕方ないでしょ。外に出よう」


あの廃校舎とは違う。


あそこに出たのは進波音の幽霊だけで、月菜は姿を現さなかった。


だからといってこの学校に現れるのかと言えば……疑問だ。


「早瀬が出ねぇと、ノートを還すことも出来やしねぇ。さて、どうすっかな」


廊下に出て、生徒玄関に向かう。


「じゃあ、月菜が現れるのを皆で待つっていうのはどうかな?正直どこに出るかもわからないし、ノートを持ってない人の所に出ても意味がないわけだしさ」


「なるほどな。若葉の言う通りかもしれない。だが、どこで待つ?日中なら良いが、夜になったら外でってわけにはいかないぞ?」


光星そう言われて、どこかいい場所がないかなと考えた私は……チラリと海琉を見た。