「波音……僕を許してくれ。キミを救えなかった、弱い僕を」


和田先生の目から一筋の雫が流れた。


「う、うおおお……マジかよ先生。白い物が消えたぞ。本当かよ……本当に終わったのかよ!?」


目の前で起こった事が信じられないといった様子で、海琉が和田先生の身体を揺すった。


私だって信じられない。


「ぼぼ、僕の予想が当たったようだね。きっと早瀬さんも、この方法で対処出来るはずだよ。呪いは主に還る……それが、この悪夢を終わらせる方法だったんだ」


和田先生のその言葉で、もうあの悪夢を見なくて済むんだと思ったら、今まで張り詰めていた緊張が、急になくなったような気がして。


「良かったぁ……良かったよ。本当に……ああああっ!」


私はその場に座り込んで、声を出して泣き出してしまった。


恥ずかしいとかいう感情はなかった。


ただ、やっと悪夢から解放されるんだという安堵感から、涙が溢れ出してしまったのだから。


「気が早いだろ若葉。まだ早瀬が終わってないんだぜ。でも、やっとって感じだな」


泣きじゃくる私の頭を撫でて、海琉も顔をくしゃくしゃにして喜んでいた。


もうすぐで全てが終わる。


ゆっくり眠れるようになるんだと、それだけで世界が変わったような気さえしたから。