渡り廊下を抜け、階段を下りて。


来客用玄関へと走った私達は、そこにいた和田先生に駆け寄った。


「無事だったかい!?木之本くんと雛木さんはもう外に出たよ!早くキミ達……ぶふぉっ!?」


両手を広げて、私達を迎えてくれた和田先生に、海琉が容赦のないパンチを見舞う。


ゴロゴロと床を転がり、頬を押さえてのたうつ和田先生に、海琉が声を荒らげる。


「ふざけんじゃねぇぞこのクソ教師が!!本当に死ぬかと思ったんだぞ!あぁ!?」


「い、痛い……痛いよ野澤くん!まさか殴られるなんて思わなかった!」


「自業自得だボケッ!」


その気持ちはわからなくもないけど……今はそんなことをしてる場合じゃないんじゃない?


いつ、どこから白い物が現れるかわからないし、逃げるなら早く逃げた方が……。


そう思いながらチラリと背後を振り返って見ると。


私達の後ろ。


廊下の突き当たり。


そこに、いつもの白い物が、歪んだ笑顔を私達に向けて立っていたのだ。


「ひっ!」


私の小さな悲鳴で気付いたのか、和田先生が頬を押さえながら起き上がった。


「このルーズリーフ……燃やそうとしても破ろうとしても意味がなかった。僕にはどうすれば良いかわからない。だけど、僕がここにいた理由は、キミ達を助ける為さ」