「くそっ!どうすりゃいいんだこれは!あれは幻覚か!?それともマジもんのヤバいやつか!?」


「そんなのわかんないよ!幻覚でも捕まるのはやだよ!」


あれに捕まれば、どうなるかくらい想像がつく。


間違いなく食べられてしまうだろう。


それが幻覚だとしても、何度も何度も死ぬほどの痛みを味わいたくなんてないから。


「うおいっ!!どこだよ光星!!どこにいやがる!!」


三階で呼び掛けても返事はなくて。


「あっ!海琉、ほらあそこ!!光星達がいるよ!」


私達が走ったのとは別の渡り廊下。


そこを二人で走っている姿が見えた。


きっと、海琉の声を聞いて玄関に向かっているのだろう。


「返事をしろよあの野郎!!そしたら俺達がここまで来なくて済んだのによ!!」


「でも、玄関に向かってるのがわかって良かった!後は私達が逃げれば良いだけだよ!」


「若葉みたいにポジティブにはなれねぇ。むかっ腹が立ってしょうがねぇぜ!」


その気持ちはわからなくもないけど。


逃げるにしても、今来た階段は危ない。


「早く逃げよう。海琉、あっち!」


目の前の廊下を指さして、私と海琉は走り出した。