そう考えると、月菜が何日も眠っていなかったから、あんな風におかしくなった。


わからなくもない話だけど。


「じゃあ、早瀬は何を恐れていたのか。それはノートの1ページ目に書いてあっただろ。知ってはならない言葉を知れば夢を見る。夢の中に現れる白い物を見てはならない。目を逸らしてはならない、捕まってはならない。きっと早瀬は、この『白い物』を恐れて寝ることが出来なかったんだ。見るといずれ死ぬ。寝るのが難しい……つまり『見死難寝』。『ミシナンネ』なんじゃないか?」


あんな怖い出来事があったっていうのに、光星はよくそこまで考えられるものだ。


いや、怖いから、何かを考えてないといられないのかな。


「じゃあ何かよ。早瀬は夢に現れた何かに殺されたとでも言うのかよ。見たら死ぬ夢なんて初めて聞いたぜ。都市伝説の『猿夢』でもあるまいし」


「なにぃっ!?だったらお前は、他に何か俺を納得させられる説明が出来るんだろうな!?都市伝説は信じて、今自分の身に起こってる事は信じないのかお前は!!」


二人がこうなると、もう誰にも止められない。


どうしたもんだと摩耶を見ると、摩耶も私に何か言いたそうにしていた。