「ぎゃあああああああっ!!で、でかいっ!こんなの初めてだっ!!」


驚く私と海琉よりも先に声を上げたのは和田先生。


恐ろしい笑顔を浮かべ、目をギョロギョロと動かして私達を見詰める巨大な顔。


それに弾かれるようにして私達は駆け出した。


「くそっ!顔だけでこれだったら、どれだけでかいんだよ!おい!逃げるぞ……っと、その前にあいつら呼ばなきゃならねぇか」


玄関の方に走りながら、スマホを取り出した海琉。


「なんだよ……マジかよ!!圏外とか、今の世の中にあるのかよ!!」


「だ、だったら二人を呼びに行かないと!あの二人を放っておけないよ!!」


怖い……怖くてたまらないけど、ここで二人を見捨ててしまうと、私は絶対に後悔してしまうと思ったから。


私だけじゃない。


光星も摩耶も怖いのは同じで、それでも生きる為に必死にもがいているのだから。


「ぼ、ぼ、ぼ、僕は丸山の所に戻って、いつでも出られるようにしておくよ!早く戻って来るんだよ!!」


そう言うより早く、和田先生は来客用玄関の方に一直線に走って行ったのだ。


「あ、あのクソ野郎!!生徒を置いて自分だけ逃げやがった!!後で覚えてやがれ!!」