私が夢で突っ伏していた机、その教室。


そこに移動した私達は、廊下からでもその存在感がわかる。


「うん……どうやらあれに間違いないようだ。ここからでも、不気味な気配がわかる」


「じゃあ、さっさと回収しようぜ。皆もう、精神状態はズタボロだろ。俺だってどうなるかわかりゃしねぇ」


和田先生を押し退け、教室に入った海琉は机に近付き、その中から一枚のルーズリーフを取り出した。


「ん……早瀬のノートの不気味さとは比べ物にならねぇ。やべぇ感じがビシビシ伝わるぜ。持ってるのがヤバいくらいによ」


それを持って私達の前に戻って来た海琉。


「何年も……色褪せることのない怨念がここに漂っていたんだ。最近呪物となった早瀬さんのノートとは、比較にならないだろうね。よし、木之本くん達を呼んで校舎から……」


やっとこの廃校舎から出られる。


そう思って安堵した私の目の前。


背を向けている海琉には見えていないけれど……私と和田先生にはそれが見えていた。


「あ?どうしたんだよ。一体何が……」


海琉が振り返った。


つまり、それを見てしまったということだろう。


窓の外……大きな白い顔が教室の中を覗き込むようよに、そこにあったのだ。