「行こうぜ。若葉の横には俺がいる。お前だけじゃねぇから、心配するな」


前に進めなくなりそうな私に、それを見透かしたような海琉の言葉に、私はどれだけ救われたか。


「う、うん。ありがとう」


震える足を前に出して、ゆっくりと廊下を歩き出した。


「いいね。青春だね。僕も波音にそんな言葉を伝えられていたら……」


「うるせぇな!こっちは気が立ってんだ!さっさと行くぞ先生よ!」


助けてくれたのは先生なのに。


申し訳ないと思いながらも、私は例の教室に向かって歩いた。


階段を下りて二階。


今、光星と摩耶はどこにいるのかと思いながら、私達は廊下を歩いた。


「どうする、光星達を呼ぶか?」


「いや、神崎さんが言う場所にある机が、波音の物とは限らない。どこにいても危険はあるんだ。彼らは彼らで探してもらおう」


聞きようによっては冷酷に聞こえなくもないけど、私達は無許可でここに立ち入っているわけだから、早めに済ませたいという想いは強い。


私達が襲われたんだから、光星達も襲われる危険性はあるけれど。


もう、自分のことで精一杯で、人のことを心配していられる余裕は私達にはなかった。