「ぎゃあああああああっ!」


「いやあああああああっ!!」


悲鳴を上げる私と海琉。


そんな中で、和田先生がドンッと音を立てて床を踏み締めた。


途端に白い物は消えて……私の顔と、海琉の手は元通りになっていたのだ。


「だ、大丈夫かい?二人とも」


「くっ!!こんなの大丈夫なわけねぇだろ!幻覚だってわかってても……超痛てぇよ!」


私は……本当に死ぬかと思った。


ハァハァと、荒い呼吸をするしか出来なくて。


左目で景色が見えることが未だに信じられない。


「ほら、神崎さんも立って。早く行こう、机があった教室に」


目の前に差し出された和田先生の手を、無言で掴んで。


引き起こされた私は左目を押さえたまま歩き出した。


昨日、唇を噛まれて皮膚を剥がされたけど、痛みのレベルが段違いだ。


摩耶が……おかしくなってしまうのもわかるよ。


どうしよう、怖い。


ここまで来たんだから、どうにかして進波音の呪いを解かなければと思うけど……もう、死に対する恐怖が限界を超えてしまいそう。


眠気も相まって、身体が動かなりそうだ。


そんな私を見て何かを感じたのか、海琉の手が私の頭に置かれた。