無言のまま歩いて、音楽室がある三階にやって来た。


夢の中と違うのは、蜘蛛の巣がないことだ。


「ここまで机がないと、探すのも楽だな。てか、本当に机なんてあるのかよ」


廊下から教室の中をチラリと覗くだけでも、そこに机があるかどうかは見ることが出来る。


「必ずあるはずだ。ルーズリーフが呪物と言ったね。ならば、それが入っている机も、何らかの呪いの影響を受けているはずだ。この学校のどこかに残っている。僕はそう思う」


「た、頼りねぇ……それって先生の勘じゃねーっすか」


「案外、この勘ってやつが大事なんだよ」


和田先生って、こういうところがあるよね。


夢の中でも、かっこいいこと言ってピアノを弾いていたのに、あっさりと月菜に殺されて。


でも、ここまで来たんだから、何も得られないというのは勘弁して欲しい。


「ところでキミ達は眠気は大丈夫かい?どうやら雛木さんは限界のようだけど」


「いやいや、大丈夫なわけないっすよ。もう、いつ倒れてもおかしくないくらい眠いっすよ」


「はい、必死に何か考えてないと、瞼が閉じてしまいそうです」


お腹は気持ち悪いし頭は痛いし、身体はふわふわして目も霞む。


そして幻覚まで見るなら限界だと思えてしまうよ。