「じゃあ行くよ。丸山は車で待機していてくれ。いつでも出せるように」


和田先生の言葉に、丸山さんがコクリと頷く。


「な、なんだよ。丸山さんは来ないのかよ。いざ先生だけってなると……頼りねぇな」


海琉が独り言みたいに呟くけれど、その声は和田先生に聞こえていたみたいで、ハハッという乾いた笑いが聞こえた。


校門の横、駐車場の横にあるバリケードの隙間を通り抜け、校舎に向かう。


どうやら来客用と思える玄関の前まで来て、校舎の中を見ると……なるほど既視感がある。


ここが、夢で見た廃校舎だというのがわかる。


「このガラスが割れてる場所から入るよ。ドア枠には触れないようにね。警備システムがまだ生きてるかもしれない」


「マジすか……捕まったらヤバいんじゃないすか?」


「まあ、確かにまずいかもしれないね。だけど、呪物を見付けなければ、僕達はいずれ死んでしまうんだ。四の五の言ってられないよ」


ガラスが割れたドア枠をくぐり、校舎の中に立ち入った私達。


シンと静まり返ったその空気は、確かに夢の中で見た廃校舎と同じ空気がした。


つまりそれは、白い物がいるという確かな感覚だった。