「なんか凄かったな。先生より頼りになるんじゃねぇか?丸山さん」


「あ、ああ。やはりあの肉体を作り上げるくらいだ。ストイックに筋肉をいじめ抜いたんだろうな。男なら一度は憧れる肉体だ」


男子二人は、丸山さんの行動に感動すらしているみたいだ。


確かに凄いとは思うけど、私にはその良さはわからない。


摩耶も丸山さんには敵わないと悟ったのだろう。


少し落ち着いたようで、光星の隣に戻った。


「ここはね、県立高校の統合で、廃校になった高校なんだ。母校が廃校なんて寂しい気もするけど、波音の怨念はまだ生きているのだろう。呪物となったルーズリーフを見付けて処分する。それで波音から始まった呪いの夢は終わると信じたい」


色々不安はあるけれど、ただ眠気に耐えて、殺されるだけに比べたら、この悪夢が終わるかもしれないというのは大きな希望だ。


「摩耶、きっともうすぐ終わるよ。終わったらゆっくり寝よう。それまで頑張らなきゃ」


また暴言を吐かれるかなと思ったけれど、私の言葉で今にも泣き出しそうな表情に変わって。


「本当に……本当に終わるの?寝てもあの夢を見なくて済むの?だったら、私も頑張るよ」


そう言って、大粒の涙を一つ流した。