光星に抱き締められて落ち着きを取り戻したのか、摩耶の呼吸音が静かになり始める。


まさか、寝たんじゃないのかと振り返って見てみると……。


「何見てんのよ!文句あんの!?」


と、鋭い目で睨み付けられて。


私は慌てて前を向いた。


あの大人しい摩耶が、こんなに変わってしまうなんて。


でも、光星がいることで落ち着いていられるなら良かったよ。


「で、先生は俺達をどこに連れて行こうとしてるんすか。あんまり長時間車に乗ってると、ついうっかり寝ちまいそうなんすけど」


海琉の言う通り、この揺れは睡眠に誘う。


「その前に一つ聞きたい事があるんだが。キミ達が昨日持っていた、早瀬さんのノートは今どこにあるかな?木之本くんが持っているのかい?」


「い、いえ。確かに俺が持っていたんですが、いつの間にかなくなっていて……」


「やはりね。波音のルーズリーフもそうだった。なんて事のないただの紙。それが呪物となり、呪いを広める媒体となったわけだ。これは、燃やすことも破ることも出来ない。つまり……これが全ての根源だと、僕は思っている」


えっと、頭が回らないから難しい話はわからないけど、月菜のノートも先生が言う呪物になっていて、それをどうにかしないとダメってことだよね。