和田先生も、その状況が良くないと思ったのだろう。


ワンボックスカーの後部座席のドアを開けて、光星に摩耶を乗せるように促した。


「思ったよりもずっと酷いな。俺達もいずれああなるのかもな」


暴れる摩耶を見て、海琉がボソッと呟いた。


「私は、海琉はもっと早くに暴れるかと思ったけど、意外と落ち着いてるよね」


「うるせぇ。俺は眠いと大人しくなるんだよ。暴れても疲れるだけだろ」


本当に予想外というか、一緒にいたらとばっちりを食らってしまうんじゃないかなと思っていたけど、海琉は全然大人しくて。


むしろ私の方が、イライラして暴言を吐かないか心配だったくらいだ。


「これ以上騒がれると色々まずい。皆車に乗って。移動しながら話そうじゃないか」


摩耶が暴れているこの状況では、確かにその方が良いように思える。


私と海琉は後部座席に座り、先生が助手席に乗ると、車は動き始めた。


「ほら、大丈夫だから。落ち着いて……落ち着いて」


油断すると暴れ出してしまいそうな摩耶の、頭を抱き締めるように撫でている光星。


もう、そうでもしないとどうしようもないくらい追い詰められてるのだろうな。