直後に遅れてやって来る、身を裂く痛み。


「ああああああああっ!!痛い!痛い痛い!」


「し、しっかりしろ若葉!!」


その場に崩れ落ちて、ドクドクと血が流れ落ちる、耳があった場所に手を当てて。


ズキンズキンと脳に響く痛みに悶えることしか出来ない。


おかしい……こんなのおかしいよ!


視線を逸らさなかったのに……白い物が動くなんて!


いや、それ以前に私は気付くべきだったのかもしれない。


まだ……ピアノの音は聞こえているということに。







「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!」







笑い声を上げ、床に飛び下りた白い物が、海琉と私に手を伸ばす。


「うおっ!何なんだよこれ!?止まるんじゃなかったのかよ!おかしいだろ!!」


私を庇っていた為か、私達は腕を白い物に掴まれて。


グッと力が込められた瞬間、バキッと腕の中から何かが砕ける音が聞こえた。


「!?あ、ああ……ああああああああああああぁぁぁっ!!」


「ぎゃあああああああああああああっ!!」


私も海琉も、もう悲鳴を上げることしか出来ない。


白い物に掴まれた部分の骨が、次々と砕かれて行って。


身体中を砕かれた私と海琉は、今までにない激痛と苦しみにのたうつことも出来なくて。


「は、早く……殺してよ……」


その声を出すことが精一杯だった。


その後は何をされたのか覚えていない。


いつ、どのタイミングで死んでしまったのかも。


ただ覚えているのは、生きるのが嫌になるくらいの苦痛だけだった。