「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!」




「う、うおおおおおっ!?」


「きゃああああああっ!」


頭上から降り注ぐ狂った笑い声に、私も海琉も身をすくめて身動きが取れずに。


私はまだ良かった……その姿を見ていたのだから。


突然の声に身体が跳ねた海琉はどれだけ驚いただろう。


それでも慌てて白い物を見る。


こんな手を伸ばせば届いてしまうような場所で動かれたら、間違いなく捕まってしまうから。


「か、海琉!私が見てるから逃げてっ!」


「バ、バカにすんなよ!?若葉を置いて逃げられるかよ!!」


私の言葉を拒絶するように、海琉が振り返って白い物を見る。


二人で見れば、もしかしたらトイレから出られるかもしれない。


だけど……何かがおかしい。


私と海琉が視線を逸らさずに見ているはずなのに。









白い物は、ニタニタと笑いながら、ゆっくりと個室の上部を移動し、私に手を伸ばして来たのだ。


「う、嘘……嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘っ!!なんで!?なんで動いてるの!?ちゃんと見てるのにっ!」


「に、逃げるぞ若葉!こいつはヤバい!!」


聞こえた海琉の声。


個室のドアから出ようとしたけれど……その白い手が、私の耳を掴んで。





ブチィッ!






という音と共に、熱い感覚が耳に走ったのだ。