「僕の同級生は……僕が高校二年生の時に亡くなった。あまり喋らない子でね、酷いいじめを受けていたよ。僕にはいじめから救ってあげられる勇気はなくて。この曲だって、いじめが酷くなって作るのを辞めたんだ。わかるだろう？彼女は僕を恨んでいるのさ。クラスメイトを恨み、世の中を呪い、そして僕を憎んだ。そしてその強大な想いがこの悪夢を作り出したと、僕は思っているんだ」


少し寂しそうな表情を浮かべて、ポロンと調律が狂ったピアノの鍵盤を弾いた。


「彼女は『呼ばれてるから行かなきゃ』と言ってね。その数日後に亡くなった。今思えば、死に呼ばれたんだと思う」


いじめ……そして恐らく自殺。


その怨念とも言える想いが、クラスメイト達に向けられて、今なお存在して月菜を死に追いやったんだ。


「いやいや、そのクラスメイト達はどうなったんすか？先生は印を剥ぎ取ったから助かったんだなってわかるんすけど」


「皆……死んだよ。眠れない、夢で殺される恐怖と不安でおかしくなってね。クラスメイトや先生に刃物で襲いかかって、最期には自殺さ。僕がそれを聞いたのは病院のベッドの上だったから、詳しくはわからない」


今日の摩耶の姿を見たら、ありえないとはとても思えない。


むしろ、その光景が容易に思い浮かぶ。


私でさえ、この眠れないイライラが進んだらどうなるか……わからなかったから。