「音がでけぇな。入るぞ。いいか?」


「うん。中には誰もいないと思うけどね」


昼に入った時には誰もいなかったから、そう思って。


海琉に続いて、少し開いたドアから音楽室の中に入った。


すると……。


「うん?やあ、キミ達ここに来たんだね。何日も寝ないというのは辛いからね。眠ってしまうのも無理はない」


先生が……ピアノの前に立って、部屋に入って来た私達に目を向けたのだ。


「は?なんで先生がここに……って、あの言葉を見たからか。この夢を見るってわかってんのに見るなんて変わった先生だぜ」


「まあね。ここは僕が逃げた夢だから。立ち向かうには、もう一度この夢を見る必要があったのさ」


まさか先生がいるとは思わなかったけど、落ち着いたその姿は安心感を覚える。


ただ出口を探して逃げ回るだけだった私達に、他の手段があると教えてくれるような期待もあったし。


「まあいいや。聞きたいことがあったんすよ。先生は、今鳴ってる曲は同級生と一緒に作ったって言ってたっすけど、その曲がなんで流れてるんすか?先生か同級生が、この夢に関わってたりするんすか?」


昼間、聞こうと思ってうやむやにされた話。


そう尋ねた海琉を、先生はジッと見詰めて口を開いた。