渡り廊下を渡り、音楽室のある校舎の三階にやって来た。


昼間、私が蜘蛛の巣を払いながら歩いたせいか、廊下の真ん中に穴が空いているように道が出来ていた。


「ん。確かにピアノの音が大きくなったような気がするな。こんなにハッキリ聞こえなかったもんな」


「でしょ？ここだけ音が大きくなるから、この『ノロイユメ』に繋がる何かがあるかもしれないよ」


そうとでも考えていないと、とてもじゃないけどやっていられない。


毎回毎回、眠る度に殺されるかもしれないって恐怖を感じて、どれだけ眠っても眠気が取れない。


もう、40時間も眠ってないことになっているんだから。


「まあ、この夢が呪いだっつーなら、その呪いの根源があるって言ってたな。それがここにある可能性があるってんなら、調べてみるべきだよな」


私がそう言った時には「ふーん」って言ってたのに。


やっぱり、実際に経験しないとわからない部分もあるんだろうな。


そして、音楽室に近付くにつれて大きくなるピアノの音を聞きながら、私達は歩く。


暗い中で、蜘蛛の巣がまるでトンネルのようで。


洗練されていない荒々しい曲は、先生の演奏とは違って不快感さえ感じる。


大きな音が私達の耳に入って来る中、私達は音楽室の前にやって来た。