「あの……顔を見せてもらっても良いですか?」


最近の月菜の顔は怖かった。


何かに取り憑かれているようなその表情は、恐怖を感じたほどだった。


だから、おばさんが月菜の顔にかけられている白い布を取ろうとしている間、私は正直怖かった。


見せてと言ったものの、見たいと思う反面、見たくないと思う気持ちもあって。


身体を後ろに引っ張られるような、冷たい手で頬を撫でられているような。


そんな不気味な感覚の中で白い布がめくられたけれど……月菜の顔は綺麗で、穏やかで。


それを見て、ホッと胸を撫でおろした。


「綺麗な寝顔でしょ?食べもせず、寝てもなかったから、やつれているけど」


確かに細くなったね。


何がどうなって、月菜はこうなってしまったのか。


「あ、おばさん。月菜の顔にホコリが……」


と、手を伸ばそうとした時だった。


月菜の瞼が突然開き、不気味に睨みつけるような目が、ギョロッと辺りを見回すように動いて、私を見たのだ。


「ひっ!!」


思わず手を引っ込めて小さな悲鳴を上げた。


慌てて目をこすってもう一度見ると……当たり前だけど月菜は目を閉じていて。


私の目の錯覚だったのかなと思うしかなかった。