「誰だコラァッ!!人の家のインターホンで遊んでんじゃねぇぞ!!」


怒りに任せてドアを開け、家の外に出た海琉は怒鳴り声を上げた。


私も続いて玄関から出てみると……やはり、誰もいなくて暗闇があるだけ。


「ほ、ほら。だから誰もいないって!早く中に戻ろうよ。怖いよ」


「若葉はよ……あのおかしなやつを見て、家の中は怖くないって思えるのか?正直、俺はビビッてるぜ。情けねぇ話だけどよ」


そう言われると、家の中でも安心なんて出来ないと思ってしまう。


だけど、外にいるよりは断然いいんじゃないかなと、首を横に振って恐怖を振り払う。


「それでも!外にいるわけにはいかないでしょ!ほら、中に入ろうよ。もう少し頑張れば朝になるんだし。二人で寝ないように頑張れば、もうすぐだよ」


暗闇の中にいるというのは、明るい場所にいるよりも眠くなるし、恐怖が増幅される。


闇の中から白い物が私を狙っているように思えて……私は、海琉の手を取って家の中に戻った。


鍵をかけて、二階に戻ろうとした時だった。


階段の上……白い足が見える。


「ん?どうした若葉」


「い、いる……階段の上に……白い物が」


そう呟いた時だった。


階段をバタバタと駆け下り、私に飛び掛かる白い物を、私の目は捉えた。


次の瞬間、壁に押し当てられて。


頭に強い衝撃を受けて、私は気を失った。