あれから12時間程が経った。


もう眠さの限界で、いくらコーヒーを飲んでも瞼の重さは軽減されなくて。


「おい……寝るなよ。寝るんじゃ……ねえ」


海琉でさえ、眠気に勝てそうになくて頭がグラグラ揺れている。


「寝ちゃダメだよ!起きて!」


自分の眠気を振り払うように、手を振り抜いて、海琉の頬を叩く。


パンッ!と音を立てるかなと思ったけど、ゴスッという鈍い音が手から伝わった。


「いって!いってぇ!お前、それは痛いだろ!芯に響くわ!」


慌てて目を開き、頬を撫でた。


「だって……痛くなきゃ起きないでしょ?」


「まあそうだけどよ。それにしても痛てぇ……」


そんなに痛かったかな?


確かに凄く綺麗にヒットしたとは思ったけど。


後8時間程で約束の時間になる。


これまでの時間も長かったけど、ここからの8時間もとてつもなく長いよ。


お互いに睨み合うように監視を続け、眠らないぞと伸びをした時だった。


ピンポーン。


と、こんな時間にも関わらずインターホンが鳴ったのだ。


「あぁ?誰だよこんな時間によ」


そう言うと立ち上がって、壁に掛かっているモニターのスイッチを押す。