「そうだ、今日海琉の家に泊めてよ。摩耶は無理そうだし、光星は摩耶で忙しそうだし。二人で寝ないように見張り合えば、絶対に寝ないと思うんだ」


「は、はぁ!?お、お前何言って……」


「一人だと眠気に耐えられそうにないの!お願い!」


もう、藁にもすがる思いというのは、こういうことを言うのだろう。


とにかく明日まで寝ずに耐えることしか考えていなかった。


「そ、そ、そうだな。寝ちまったら白い物に殺されるかもしれねぇからな。摩耶がああなっちまったんだ。お前もそうならないとは限らねぇし」


しばらく考えた後に、私から目を逸らして、ボソボソと呟くようにそう言った。


「やった。もう本当にどうなるかと思ったよ。今でも眠気の限界なのに、夜とかどうすれば良いんだろうって思ってたからさ」


「お、おう。そうだな。てか、今から来るか?ほら、あれだ。さっきも言ったけどよ、道の真ん中でボーッとされたらまずいだろ?」


確かに、それはまずいよね。


海琉が声を掛けてくれたから、怪我をしていないって気付けたけど……もし気付かなかったら私は今でも苦しんでいたかもしれないよね。


どうしていなくなったかはわからないけど、白い物だって、まだ私に付き纏っていたかもしれないし。