噛み付かれて殺されて、印が付いたら終わりなのかな、程度にしか思っていなかったけど。


「もしかして私、白い物を連れて来たんじゃないのかな。腕を掴まれた瞬間、出口から出たから」


「……わからねぇ。俺にはそうだとも、そうじゃねぇとも言えねぇよ。もし仮にそうだとしたら……若葉、お前耐え切れるのかよ」


その言葉が意味するものは理解出来た。


耐え切れる……つまり、死を選ばないということ。


「だ、大丈夫だよ。なんで死ぬなんて道を選ばなきゃならないのよ。明日……明日だよ。明日になれば何か変わるかもしれないから」


「ま、そうだよな。今は何にでもすがってみせるしかねぇ。それにしても困ったな。さっきみたいに道の真ん中でボーッとされたら、車に轢かれるぜ?」


それを言われると……どうすれば良いんだろう。


家に一人でいると、絶対に寝てしまうから学校に行ったのに。


夜もそうだよ。


摩耶の家にでも行って、朝までお互い寝ないように見張り合おうって思っていたから。


でも、摩耶はあんな感じだし、かと言って一人でいると絶対に寝ちゃうし。


月菜は一体どうやって夜を過ごしたんだろう。